ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
ったぜ。しかし、ブリーフのゴムがちぎれちまって、なすすべなく後方へ飛んでゆく。
なんでちぎれたのか……
柱にかすったのか、りきんだからか……
俺のいっちょうらが……
はだかはいやだ……」
そうこう飛んでいるとルーフが取り外してある車が乗り捨てられてあって、地面すれすれで恐かったがさいわいそこまで降りれて、フロントガラスに両足を投げ出すようにしてくっ付けて、男は自分の推進力で押していった。ブリーフ売ってそうな繁華街がないか血まなこで探しているがこの辺はまだ砂漠のまっただ中で、しょうじきへこむ。
「私の車かえしてよ!」と、わめき声も聞こえたが、とられて困るもんを放置していた野郎
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