ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
野郎がいけねえんで、そいつが完全に悪い。罪悪感みじんもねえ。ただ、耽溺していたかったこのドライブをこれはこのまま。
──とあるところにつくと、
「よお。ごくろうなこった。こんなルーフなしの車をカイタイする気になったか。まだ乗れそうだけどな。いいのか本当に? ぶっつぶしてしまっても?」
「いい……」
「そうか。シャレてんのになあこの車。中古車で売っても100万はとれるぜ。はは。まあどっかから盗んできたんでそうもいかねえってとこか。俺もディーラーじゃねえし、つぶさずにおれない性分だしな。特にまだ乗れそうなやつを潰す醍醐味ってのが格別でな」
スパナを持った男がさっそく解体したさそうに小走り
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