ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 
さえなけりゃ最高なのだったが、男に向かってとんできていたし、あきらかに男を墜落させるつもりで飛んできていたから。何とかよけないとこのままじゃぶつかってしまう。そうじゃなしにやつらも同じように飛行を楽しんでいるいわば仲間なのだろうか? それだったら大変申し訳ないことであったが、なんか、男は鉄パイプを小脇にいっぱい抱えていて、その筒の先からなんか、玉がピュンと出て、天狗のお面を破壊してしまった。
「超キモチいい! お面めが。グルグル回りだしやがった。玉が当たりにくくなったぞ。俺を挑発してやがる! 俺を嘲弄する気か! くそくらえ! 玉くらえ! ははん! 天狗のお面全部砕け散らして、空には雲ひとつない。
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