ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
 
い。俺は成し遂げた。ははん! 眼前に迫りきていたこの脅威を何と言ったらいいのだろうか、何なのだろうか? そう、ずばりお面だ。天狗のお面をやっつけたのだ! それが事実であり、俺の実力だ。地力だ。底力だ。破片が粉になって降りそそいでいるのがその証だ、なによりの証拠だ、……俺だけのためにあるこの青空。超、澄み切ってる」
男はブリーフだけはいて飛んでいて、超涼しい。
「俺は逃走してるわけじゃないし。過去が変えられないだけであってああそんなことしたな、それは事実だ、というだけのことなのだ。
 ブリーフだけ……
 ブルースだけ…… 
 俺の心を慰めてくれるのは……
 誰も愛しちゃくれない……
 
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