ジュリエットには甘いもの 前編/(罧原堤)
ど、そんなことなんかを書き綴っているうちに思いもかけず、本当に書きたいと願っているものが自然にこの作中のところどころはしばしにあらわれてくるかも知れない。男はそう考えた。よし。それを当てにして、思うがままに書き連ねていこう、と。しかしさっきからなんだが、もう叫ぶしかねえ状況下だった。
「うわー恐い! 恐ええよ。……だが自由だ。人間って飛べるんだな。誰はばかることなく、俺、空を飛んでる。だって飛んでる。現に飛んでる。何にも束縛されず、人としての一線越えて風になってる。超キモチいい!」
しかも意思と関係なく前に進んでっていた。だが前方から天狗のお面がつらなって飛んできている。不安だった。それさえ
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