白日/salco
の胸へと帰還するのだ
誰が帰り道を間違えるものか
今日は一体何日で
今は一体何時だろう
それから誰が切符の手配をするのだろう
奇矯にも風にそよいだ葉先に驚いて
ハエがぶうんと飛び上がる
認識票をつけたまま
ぐっすり眠る彼の目から
最早名もなく墓もない、
この屍のちぎれ飛んだ腰から下は
今こそ彼の心のままに
幾つもの境界線をやすやすと飛び越えて
懐かしい我が家へと大股に帰るのだろう
弾丸飛び交う行軍の道を
今度は逆に軽がると
もう誰の名を呼ぶ事もない
声はみんな死んでしまった
血混じりの絶叫さえ
空や大地に爪痕一つ引きはしない
予め簒奪された存在は
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)