お化け煙突とボロアパート/真島正人
 
って呼ぶのは、あたし初めてだわ」
女のほうが、会話が
ジャンプしている

一時間ほどして
互いに退屈になり
僕は女のスカートを
ねだるようにいじる
そこになにか
『重たいもの』
が隠されているような気がして
下着の中から
『重たいもの』が
はみだしてくるような気がして
「なぁ、いいだろう」
とか
「なんでもないんだよ」
とか
いろいろなことを
口に出してみる

女は
嘘っぽく恥らったり
本気で嫌な顔をしたりして
僕のことを
幼児みたいだという

僕は幼稚園児かもしれない
僕が今
女の下着の中に探したいのは
淫の気配ではなく
古い記憶

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