お化け煙突とボロアパート/真島正人
口から出てくる言葉の重さと
比較することができない
どちらも
形を持たないものなのに
なぜか『ある』とわかる
目で見えないものを
「確かにある」
「確かにあった」
と確信できるのはなぜだろう
僕は子供の頃から
それが気になって仕方がなかった
誰も答えはくれない
「キミと話していると、英語で話しているみたいよ」
と女がいう
「まるで、苦手な、でも一度習ったから、なんとかわかる言語を使って話している気分」
「ふぅん」
と僕
「それは言葉の断片とか、単語しか、ろくに頭に入ってこないってこと?」
「わからないけど」
でも、と彼女は続けて
「年上の人を、キミって
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)