お化け煙突とボロアパート/真島正人
組んでいて
『だいたいあのあたり』が
『正確にどこ』であるのかを
抹消してしまった
煙突に限らず
向こうに見える不自然な物干し竿
ガラスの曇ったビルディングも
その根元がどこに
食いついているのかなど
わからないのだが
ことさらにここから目立つのが
その細長い煙突なので
とりあえず
気になっている
根元が見えない
どこにあるのかわからない
でもあるからお化け
僕は仮にそれをそう呼んでいる
煙突からは定期的に
白い煙が吐き出され
抜けるような青い空に
近づくにつれて薄まっていく
煙もまた
お化けのようなもので
目に見えなくなる
だ
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