夜(は液状に波及する)/手乗川文鳥
を、
線で閉じていく、交わらないように、
わたしが夜中に叫んでも届かないように
台無しにしよう、夜中に、
わたしが恋人を罵っても、照らされないように
家中の柱が意志を持って
わたしの頭が打ち付けられるのを避ける
到達する、波。
此岸はみるみるせり上がり、
みちみちた海水が泡だって降り注ぐ、
かき消える声と声、
錠剤ならばもう捨てた、次は何を捨てるのか、
揉まれながら解けていく精神を押しとどめる、
(恋人の性器にぽえむと名付けたのも)
(ずっと昔のことだから)
肉体を縁取る名前をもてあそんで、
流れ出てしまったものになんの注意も払わなかった、
こ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)