夜(は液状に波及する)/手乗川文鳥
 
なたがたの睡眠を試します
 決して眼を覚ましてはなりません
 空と地上が
 逆さまになっていると気付いて
 そのまま空の底へ落ちてしまうから


早く片付けなくちゃ
到来するのよ、私の新しい国が
追いやられていく私と屍の大移動
猫が
窓辺で目を細めている(迷惑そうに)
「はたらきたくない!はたらきたくない!」
大学ノートを埋め尽くした文字が
ページから飛び出し部屋中に舞う
「もう紫蘇でいい、わたし紫蘇になりたい!」
雑念から雑念へ
巣から落ちて干涸らびた鳥の雛が
やがて骨だけになって
コンクリートにへばりつき
模様になる、庭


 家と、家と、家とを、
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