美しい私/航
、男勝りの私
姿見が故障するほど自分を見ていただけだ
あなたが触らなければ
たくましい私は美しかった
間違いなく
目覚めると毎朝が一番ひどいのは知っている
昨晩繰り返した寝返りの所為で
きっちりと閉めていたはずの蓋が部屋の外にこぼれてしまって私は
剥き出しの寒気を無条件に引き受ける空っぽの股の間
夜になってやっと忘れたもつれが
もとの木阿弥だ、ベッドの脇に潤んだ目でおすわりしている
それを撫でてやらなければならないのか
どうして
生まれてからずっと伴走しているものの代わりに走っていたのねあなた
疲れることが仕事になって朝食も用意してあげることができない
夢
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