美しい私/
 

夢中でしゃべっていた視界の端で田舎のあぜ道に落ちているのを見た野蛙の遺書を
探しに行ったら誰かに拾われていた
手遅れですが治るでしょうと言って処方箋をくれないあなたがたは
手を上げさじを投げ集団で踊るヤブ医者だったのですね

入り組んだ電波の迷路は四次元に広がり
友人たちのアナウンスでたびたびスクランブルされる
フライパンの上でぐしゃぐしゃになっても焦げて死なない程度に
治らない腋の下の裂傷こじ開けて
あなたが私に挿入したものを
なんと呼んだらいいのか
思いやりとか
謙虚とか

あの傷はまだ痛むのか
朦朧としている

住む場所がないんだ私は
と叫んだらやってきた不動産屋けちらす
夥しい数のベッドがあるのにもう
眠ることができない私は毎夜火種を持って
往き返り
美しさに慣れた街に線香をあげる

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