黄金の子/木立 悟
 

さわさわした紙に描かれた絵のような
つながらない手がつながって
見えてくる想いの輪のような



海も月も織り込んだ
雲の衣を素肌にまとい
ひとつの影のひとりの子
ひとつの舞の一歩を踏み
目をふせた泡
目をふせた魚
目をふせた木から みずうみから
目をふせた羽が起き上がるのを聴く



だいだい色に立つ子は金色になり
大きな大きな双葉を抱いて
光になったりならなかったり
かがやく粉の丘に微笑む


何かを造ったものたちも
何かに造られたものたちも
陽と草のなかに色あせ
陽と草の影に赦されてゆく



月の線の前をただよう
ちぎれた空白
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