黄金の子/木立 悟
野はかがやき まるくなり
つつむかたちと
つつまれるかたち
同心円のやわらかさ
金色に金色に目をふせる
まるいかたち
ねむるかたち
金色に金色に放たれる
これは古い貝の音
これは遠い貝の音
この腕の輪のなかに
積もりつづける息の音
沈みつづける息の音
手のなかにあるかぎり
長く 長く 細くなっても
星と星ほど離れても
ほどけた音の糸はつづく
見えない速さのなかをつながる
月は狐のように傾いた
ゆるゆると身を投げ出したまま
耳は小さな地の音を聴く
ひとり道をゆく子の足音を聴く
みんなさわさわした鉛筆で
さ
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