めぐり はじまり/木立 悟
 
ろうじてうまくゆく日を
大きなものは常に妨げ
金に緑の線は増す
まぶたの履歴の履歴に震える


同じ家が並ぶ
夜が等しく積もる
違いは光
高度差の痛み
なだらかな 軋み


曲がり角には曲がり角の絵
浪の壁に洗われる景
路はつづき 行方は見えない
帰途には冬
指の間の冬


解いてはいけないものを解いて
羽で在ることを隠しました
指先の水が手首に散り
夜を急がせ
眠りを早め


言い聞かせる
小さな武器に
冬と同じ眼に
弔いのない
小さな庭に


永い永い還り径
知ることを知るほど細くなり
境を歩み 境にうたう
常に常に

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