めぐり はじまり/木立 悟
雨を収めた油燈を持ち
光の先を追っている
呼吸の近く 銀は増し
振り向くたびに水は映え
標と標の会話をふちどる
沈む沈む
水は遠く 地も遠い
話しながら髪留めを解き
さらに闇へ駆け
闇へはばたく
押す力が弱く
ためらいます
霧の上からとどきます
しくしくと
音の指のように
伝えたくないのでしょうか
水は激しく立ちはだかり
耳の後ろに体を曲げます
新たな小さな
入口になります
声に声が生え
鳥と呼ばれる
置き去りも そうではないものも
連れ去ってゆく
道と道 光の型紙
小さなものが
かろう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)