デッド・フラワーズ(7の月)/ホロウ・シカエルボク
 
はきっとどこにも記録されない、隙間風で令嬢のスカートのように浮き上がるカーテン、俺は身を起こして窓の鍵を確かめる、なにも忍び込んでくることなどない、そいつはすでにここで呼吸を繰り返しているじゃないか、もう一度寝返りを打つ、アブラ虫がひしゃげるような音がしてなにかが布切れのように死ぬ、「喰うか?」たまたま目があった天井のピグミーに問いかけるとそいつは顔をしかめて首を横に振った、「いいから喰え」、背中の死骸を拾って天井に投げつけるとピグミーたちは蜘蛛の子を散らすようにどこかへと逃げ去り、分類されない死骸は天井に張り付く、粘土みたいに、その、あまりにも不格好なさまを、墓標と名付けてやっていいものかどうか
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