デッド・フラワーズ(7の月)/ホロウ・シカエルボク
 




鼻濁音めいた目覚めが蛭のように耳の裏に吸いつくから俺は三時間あまりしかレムを貪れない、ターコイズ・ブルーの遮光カーテンのひだには読み損ねた言葉たちが潜み、「今度は上手くやれよ」と舌なめずりする、その音は皮を剥がれる食用豚の魂の悲鳴に似ている、反響して、反響して天井の化粧板にピグミーのようにぶら下がって、シュッ…シュッ…目のように閉じることの出来る耳を俺は欲する、その音はあまりにも不吉だ、その音はあまりにも陰鬱で…手当たり次第に拳を振り回すとなにかにかすって人差し指の根本あたりから少し血が流れ始めるのが判る、薄闇に落ちていく血の一滴一滴は否応なく呪術を連想させる、相まって、皮剥と、相
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