洞窟にかける鍵/吉岡ペペロ
 
ボーカルもこなす

高く澄んだ歌声、コントロールされた体の動きや視線、表情を見ているうちに中学生のような気持ちになった
それはシンゴだけではないようだ
手拍子や写真を撮ったりしながら皆なにも喋らなくなっていた

水いろのチョゴリをなびかせて五人が単純な風のような踊りを舞っていた
ヨシミを思い出していた
いつもより肉のレベルで思い出していた
大人のエロさでではなかった
もっと遠くてもっと稚拙だった

喜び組と呼ばれる彼女たちが、訓練され、洗練された歌唱や演奏を披露しているのは、自国のイメージアップのためだ
そこにシンゴたち一行がじぶんのなかのなにかを重ねていた
となりの経
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