洞窟にかける鍵/吉岡ペペロ
人にもっと知って貰おうということらしい
バスのなかで通訳がマイクを持って
きょうは皆さん朝から偽物ショップでしょ、夜は北朝鮮料理、あした日本に帰れないかもね、と軽口をたたいた
中国人はビザいりませんから、あたしのお父さんお母さんたちの世代は、北朝鮮に旅行いきたいってひと多いんですよ、毛沢東世代のひとたちは、北朝鮮に三十年まえの中国を思い出すんですね、
テーブルサービスをしてくれていた女の子たちがいつの間にか舞台にあがっていた
ウェイトレスたちによるショータイムが始まるのだ
水いろのチョゴリにベースギターやアコーディオンをまとい、エレクトーン、ドラムも各ひとり、それぞれがボー
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