人差し指/Oz
 

こういった
夏の暑い日には
入院するまでに
衰弱してしまう

ただ
あの日の彼女は
珍しく調子がよく
僕らは二人で
江ノ島へ出掛けた
展望台から
夕陽を眺め
深呼吸をした
二人共言葉は発さず
微睡んでいた
そして、
僕は泣き出してしまった

「パパ大丈夫?」

娘が目を覚まし
声を掛けてきた
どうやら
怪訝な顔をしていたようだ

「どこか痛いの?」

どこも痛くないよ
そう言って頭を撫でた
娘は
「痛いの痛いの飛んでけ」
と祖母から教わった
昔ながらのマジナイを唱えた

彼女は何も言わずに
僕を導いた
僕は彼女の事が好きだ
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