めぐりのうた/木立 悟
雨が光のように鳴り
つぼみの冠を流れおちる
隔て 隔てられ 近づく咽
咽の上の咽
震える糸
不安を呑み
さらに渇き
片目を閉じる
降るものは降る
降るものは降る
曇りと曇り
はざまの泡
共鳴まで至らぬ共鳴
放ちつづけ
放ちつづける
定まることのない羽が
午後の七時を南下する
響きは消える
消えた響きが
さらに 消える
碧の一音
扉のある壁
亀裂をおさえ
歩幅は鳴る
次の爪の世代まで
ちぎりつづくのは
降りつづくから
音や光やかたちではなく
ただ色であり
色であるから
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