廻る/Oz
 
男は頭が堅かった
ただ、
今の生活には満足していたため
男は渋々魚を逃がした

般若は
自身のボロ家にて
先の恥を憎んだ
何故葵を咀嚼などしたのか
ソレを説明することは不可能だった
確かにそこには
憎しみがこめられていた
しかし、
何故そうしたのか
自分にさえわからなかった
般若は自分にコンプレックスを持っていた
自分は醜いのだと
だからこそ
せめて慎ましく生きなくてはならないのだと

魚は
初めて落胆した
自分の価値を改めて
考え直した
自分はただの魚であると
尾が特別なだけでは
どうしようもないのだと
あのまま食べられていた可能性は充分にあ
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