廻る/Oz
にあったのだ
男は家に帰って
妻にその日の出来事を話した
妻は信じようとはしなかった
証明するものが何もなかったからだ
写真でも持っていれば
ソレを証明できたのに
男は後悔したが
一瞬後にはどうでもよくなっていた
ただ
これらは
彼らの生における
一時の例外でしか無い
それ故、
魚はやはり尾に自信を持っていたし
般若は葵を咀嚼した
男は静かに釣りを楽しんだ
日々が流れ
季節が移り
情景が変わる
時は過ぎ去り
経験として
記憶が蓄積される
しかし、
核となる価値はそうそう変わりはしない
価値は大事に大事に囲いこまれ
綺麗に仕立てあげられる
そして、
出来上がった囲いのみが
スレ違った者の目に留まり
干渉を促す
そして、
どうやら僕も
少し話しすぎたみたいだ
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