廻る/Oz
視界の端に
その光景を見る者を
得たとき
一目散に
その場から逃げ出した
男はその様を見ていた
釣りの帰りに
立派な樹木があったため
そこに寄りかかり
一服していた
まるで舞うように
葵を咀嚼する般若を
見た時
男は特に不可解とは思わず
そのままに
その光景を受け入れた
だからこそ
逃げる般若に
悪いことをしてしまったと
そんな気持ちを抱いたのだった
魚は実に美しい尾を持っていた
男はあまりにも美しいので
家に持って帰ろうとさえ思った
しかし、彼のスタンスは
キャッチアンドリリース
一つ例外を作ってしまえば
物事は次第に破綻を来す
男は
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