失恋に溺れて/チアーヌ
 
しかった。
 もう、こんなところに住むことはないかもしれない。そう思うと、ちょっと寂しかった。
 夕暮れがそこまで近づいていたけれど、まだ外は明るかった。
 わたしは、どうせなら一度、商店街のはずれまで歩きながら隅々まで探検してみようと思った。
 そんなことを考えながら、ぶらぶらと通りを歩いていると、ふと、どこからか太鼓の音が聞こえて来たのだった。
 ぽこぽことした、自然の素材で作った太鼓のような、素朴な音色だった。その音と一緒に、しゃらしゃらとした、アコースティックギターらしき音も聞こえて来た。
 なんだろう?と思いながらわたしは周囲を見回した。
 音は上の方から聞こえて来るようだ
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