それはガラスのような音がしているけれどもガラスではない/渡邉建志
 
坂に滑らせる君はいない。
僕は一人で歩き続けた。

遠い銃声、連射が壁を射抜く。敵は誰か分からない。敵も敵が誰か分かっていないのだろう。殺すために殺している。いまも遠いどこかで。

白い砂浜で遊んでいるひとたちは砂に溶けて白かった。





幸せに生きていても、幸せに生きているふりをしているわたしをカプセルのそとでせせら笑うわたしがそとにいる。幸せなふりをしてきもちわるいという。言って転がしたり握りつぶしたりする。





葬式になるかねのおとを聞いているみたいだった。





昨日、葬式の鐘のように聞こえていた音が、今日ひる起きてみると、
[次のページ]
戻る   Point(6)