声/アンテ
 
ることが判明する
みんな口々に少年を呼ぶ
けれど観覧車はどうしても
少年を彼らに返すことができない
生まれてはじめて止まったので
どうすれば動き出せるのか判らないのだ
やがてみんなあきらめて
丘を下りて別の場所へ行ってしまう
観覧車は叫びつづける
少年は目を閉じる
呼吸が間遠になる
観覧車は叫びつづける
鉄骨がぎしぎしきしむばかりで
どうしても
動き出せない
どうしても
動き出せない

そんな童話
読むたび悲しくなって
なぜこんなつらい物語を
書いて本なんかにするんだろう
涙がぽろぽろと
こぼれ落ちて

彼女のほおを
伝った

ぼくの喉が

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