声/アンテ
 
形になって
いつものベッドだとわかった
横たわっているだらしない体が
ほんとうにぼくのものなのか
確信が持てない
いつもの手順で左手の親指に力をこめて
かくん と曲がった瞬間
とつぜん神経のスイッチが入った

もどってきたんだ
ぼくだけ

ベッドから飛び起きる
呼吸器のチューブを抜いて
アタッチメントに付け替える
モニターと点滴を外して
深呼吸
しばらくは大丈夫そうだ
ベッドから降りた瞬間
尻もちをつく
長いあいだ眠った時の衰弱と似ている
いったい何日たったのだろう
気が遠くなりかける
アラーム音に気づいてやってきた看護婦さんを
手話で制圧
彼女の
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