ひとつ めぐり ?/木立 悟
 
を流す
たどりつけない季節を流す


薄い夜があり
風の道がある
窓はみな閉じ
午後に似た色
さらに薄まり 雨を迎える


冷たいものも
熱いものも
指の林をすぎてゆく
傾きや紙魚や
遊びたち 紡ぎたち


かどわかし 
めくらまし
折り目
空の下 夜の下
声ではなく 夜をめざし


ところどころ欠け
よろこび
おいてけぼりの月を浴び
ゆうるりと歩み そこから
ゆうるりと歩み


目には見えず
指には見える粒の灯が
うなじに鎖骨につもりゆく
黒く丸く
指は赤く


曇りですか
窓には
ひとこともありませんか
常に鏡
[次のページ]
戻る   Point(2)