鈍き罌粟の季題/井上法子
へと流れ
舞ってしまえばいくつかの描写がひつようで
比喩はマテリアルの一部として傷もえぐらせる
そらに放てば息をわすれて
蝶のようにことばはいってしまうから
体温でそれをにぎりつぶせよ
銀粉まみれのてのひらに
酢のにおいをかぐような表情をして
浮遊するための羽音は
こんなにもすさまじいのか
}古井戸(秋)
てのひらはきらびやかです
おちたはずのそれを舐めると
おそろしくなまなましい味がしたんだ
おまえはわたしの中で消化され
またひとつの新しい韻律にころされるだろう
落胆にかたむきは震度を越えて
いつになく傲慢になれそうです
文句をわすれた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(26)