まずまず/ホロウ・シカエルボク
風に考えているのだろう…
ライブ・ハウスの前でシド・ヴィシャスにスタイリストがついたような成りをした若い男が退屈そうに立っていた、ねえ、悪いんだけど、とそいつははにかみながら俺に話しかけてきた、悪いんだけど飲み物をいっぱい奢ってもらえないかな、と言った、そいつの態度は思いのほかきちんとしていて、俺は感心したついでにコーラを奢ってやった…歌を歌いながら旅をしているんだ、と彼は言った、誰かと同じような人生なんか送りたくないんだ、とそいつは言った、そうか、と俺は答えた…そんなのはいたってよくある物語だ、とは、言わなかった、目の前にいる男はまだ成人式を終えたばかりなのだ、俺は彼が今夜ここでどんな歌を歌う
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