renovation/渡 ひろこ
 
というノイズを吐き出してしまった。


ぐらりと重く傾くオブジェ。
ゆっくりと矛先が回りこちらを振り向く。
厳しい思念。怯えて立ち尽くす私。
鋭い切っ先の標的は定まっている。
目を見開き口を開けたまま叫び声も出せない。
それは躊躇なく爛れた私の患部へと容赦なく突き刺してきた。
突然の抉るような痛烈な衝撃に
神経が麻痺して身体が強張る。
螺旋に回転しながら尚も食い込んでくる先端からは
針のようなパルスが波状的に放たれた。
怠惰が詰まった胎内を破壊していく。

                                      
(もう充分だから許して…)   
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