renovation/渡 ひろこ
串刺しにされて宙に浮いたまま、弱々しく喘ぐ。
ダラリと下がった両の足からは、
濁った緑色のスライムが流れ落ちていく。
触れずにおいた病巣からの滴り。
長く膿んでいたもの全てが流れ落ちた。
放心した私を見届けると
含み笑いを残して消えていったオブジェ。
痛みに堪えかねた私はそのままカオスの底に墜落した。
真っ暗ながらんどうになった私の内部。
それでも耳を澄ますと
化学反応を起こして生まれたわずかな光が
今静かに闇を照らしてスパークする音が聴こえる。
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