機械の定義/葉leaf
 
た観念とを交錯させながら、初めて進水する船のような面持で、消化しきれない疲労や期待や発見を黙認しながら進んで行った。
 海の表面の微細な角の立ち方が膨大に移ろっていき、行く波と返す波が微細にぶつかり合い宥め合い、あと一つのところで音楽になり損ねていた。それが、私の諸観念の傾きを涼しく整序し、私の未知のものへの怒りを包むように相殺し、私の感情に貼り付いたゆがんだ突起を砕いていった。私は、自分の視界がこの海全体を覆えるほど広かったらよかったのに、自分の視力が海の粒子のあらゆる機微をとらえ尽くせるほど強かったらよかったのに、と思った。
 なめらかな砂浜には、流木や網や貝などが打ち上げられていた。その
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