機械の定義/葉leaf
その中に一個の機械があった。何かの電子機器の一部のようだった。私は記念にとそれを持ち帰った。
その機械が私の机の隅の方に飾られてある。この機械は、かつてどんな言葉を探して他の機械に結合したのか、どんな仕草の中にその自我と機能との矛盾を表現していたのか、どんな悲しみをあえて舐め尽くして自壊を思いとどまったのか。機械は私の現在に幾重にも重なっていき、それぞれの層が私の閉ざされた思考や感情の殻を溶解していくようだった。私は機械を握りしめた。その硬さを確かめた上、窓を開けて外に思い切り投げた。どこまでも遠く飛んでいって欲しかったが、結構な近場の茂みに落ちた。
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