宇宙のものまね(2)/吉岡ペペロ
いた
カワバタが声だけになっていた
あたしは、このままでもいいよ、
じぶんが言ってる意味が分からなかった
カワバタが訳してくれたらそれでよかった
さいきんさ、海外いくたびに、ほんとうは祖国で暮らしたかったのに、外国の片いなかで暮らす貧しい男の気持ちになる、
シンゴにもう、あたしという商品、あげられない、
そうか、
ヨシミはカゴを見つめて言った
カワバタからなにかを奪っていたのだろうか
なにかを奪っていたんだきっと、
タイから帰ってきて、おまえと会いたいの、がまんしてた、
勝手なこと言うな!
じぶんの声がさっきのファドのような歌声だと
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