宇宙のものまね(2)/吉岡ペペロ
あ、
いっぱいはないよ、
なに?
悲観的なとこ、
ハッ、そうか、オレ悲観的か、
シンゴがすごいひとだって知ってるよ、
どこが、しがないサラリーマンだよ、
そこ!
ヨシミがふっと自転車を走らせてとまった
カワバタがうしろから抱き締めてくるだろう
カワバタとはいまどれくらい離れているのだろう
きょうどんなふうに夜になったのだろう
夜になりきれていない群青が広がった
そこに曳かれた影を見つめていた
あれはあたしのカルテだ、
あたしそのものだ、
相殺されずにのこってしまった、あたしそのものだ、
ヨシミは真摯にも虚ろにもなっていた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)