独奏/水川史生
希うものさえ内側から、肌を破ってしまうのだから
銀色のペーパーナイフの腐食、あらば、他が為に
ストレッタ、邂逅、流線型と星へ飛ぶ鳥
言葉をいくつも連ねて 翅にする君の
ピアノの音階にアインザッツ、ソナチネの昇華
明くる日をと通り過ぎた世界へさよならが行く
「何度も手を振っている。愛を信じながら」
余白に埋めた涙を誰も知らない
葬られたハロー、月へと届く前に消えたメッセージの行方
白く上を向いた魚の腹へ注がれた恋情を
書きつけて詩に変えてうたう君の描く 独奏
ボルドーを貼り付けた眼で笑っている、
涼やかなメロンソーダが上がってゆく
(濡れた君
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)