黒い猫は巨大な鳩時計を/ホロウ・シカエルボク
 
そのとき、鳩時計が鳴り、俺は身体をひきつらせた、鳩は、何事もなかったように扉から顔を出して鳴いていた、しかし、その声は酒やけしたみたいに低く割れていた
俺は椅子から飛び上がり鳩時計の正面に走り…鳩が引っ込んで出てこなくなるまで威嚇の鳴き声を浴びせ続けた、なぜそんな風にしているのかまったく判らなかった、判らなかったがそれはごく自然なこととして脳には認識されていた…やがて鳩は扉の向こうに逃げ、まったく出てこなくなった、俺は時計から離れ、睡魔を感じてベッドに潜り込み、数時間眠った
再び目を覚ました俺は鳩時計が時を告げるたびに時計の前で喚き続けた、太陽が西に沈み世界がどっぷりと闇に浸かったころ…俺
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