黒い猫は巨大な鳩時計を/ホロウ・シカエルボク
 
…俺はこいつにはなんの悪意もないのだということに気付いた―こいつはなんらかの決まりに従ってこうしてやってくるだけなのだと判った―俺は一日の終わりに静かにそいつに詫びた
翌日、俺は大変な苦労をして鳩時計の周辺にこびりついた猫の血を落とした、もう鳩のことは気にならなかった、昨日叫び続けたことで喉は引っかかれたみたいに痛んだが、そこそこいい気分だった、洗剤を使って鳩時計をきれいにした、すべて終わった瞬間鳩が現れて枯れた声で時を告げた、俺は鳩に笑いかけて掃除道具を片付けた、どこか自分のすぐ近くで、甘えるように鳴く猫の声を聞いたような気がした…



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