黒い猫は巨大な鳩時計を/ホロウ・シカエルボク
しまった、静かに身体がふるえている感覚があった、寒気を長く感じているみたいに小刻みなふるえ方だったのだが、それはまるで暑くも寒くもなく…春の始めの奇跡的な温度みたいな感じだった
そして俺は猫の目を…猫の視点を手に入れたような気がした、猫のしなやかさ、素早さが、思考の中に産まれたような気がした、ふるえが引くと、俺の身体の中にはあらゆるすべてのものがちょうどいい具合に調整されたかのような感覚があり、俺はニャーと鳴いてみようかと思ったがすべてをぶち壊しそうな気がして止めた、そしてそうした変化に慣れるまでじっと動かずにいた、ひどく痛めつけられたあとでダメージの度合いを確かめようとするときみたいに…その
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