新橋烏森口のひと/恋月 ぴの
 
ち水と盛り塩に昔と変わらぬ活気を感じ

女将さんのことをお母さんと呼ぶ言われを知る

高校へ進学した年に急な病でお母さんを亡くした翔太さん
山岳部の先輩のつてを頼りに就職した事務機器販売会社の新入社員歓迎会
二次会流れで上司に誘われたのがこのお店だったのだとか

飾り気の無い手料理の味わいと細やかな心遣いに在りし日の母の姿を思い
それからは毎日のようにお店へ通っては女将さんに面倒をかけてしまっていると話してくれた

忙しいのにさぞ迷惑でしょう?

そんな私の冗談に女将さんは笑いながら首を振り

紹介してくれるって話してた意中のひとってこちらの方なのかしら

女将さ
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