滝と月/吉岡ペペロ
 
を連れてお母さんはよくその滝に行った
なんどか誘われたけれどヨシミは行かなかった

お母さんが家をでてゆく日、引っ越し屋さんがいってしまったあと、ヨシミがお母さんの背中を揉んであげていた

こんなに持っていっちゃったら、あたしとお父さん生活できないよ、

いいって言ってたんだよ、

ほんとに、

ほんとさ、

あした家電屋さんに行かなきゃ、ほんと生活できないよ、

高いの買えばいいじゃないか、

お母さんの背中がちいさく感じられた
お母さんにさわること自体いつぶりだろう
なぜかこうなることをじぶんが長引かせていたような気がした
ちからになれなくてごめんね、そ
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