千桜/黒木みーあ
さずわたしが、加えていたチーズで手直しをする。D・o・v・e。
これが、ダヴ。
*
夕空を見つめる千桜の頬に、なんとなくわたしはキスをした。それから、ほんとうに一緒に死んでもいいと、またそっと耳打ちをした。橙色に染まった千桜は、わたしの顔をじっと見つめた後、同じようにわたしにキスをした。
窓の外では、陽が建物に反射してこの家の庭先付近を照らしているのが見える。遥か先を直視すれば眩しく、夕陽は、落ちていく間際で破裂して、そこらじゅうに散っていた。
わたしは、まるで世界の終わりみたいだと、
急に得体の知れない不安に襲われた。千桜は、そんな終わりをずっと見つめているのだ
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