千桜/黒木みーあ
 
している。

わざわざ家に戻り、こっそりと持ってきた雨ガエルらしき絵が入った黄緑色のシートを広げると、千桜が四方にお菓子を置いた。なんと贅沢な重りだと思わず呟くと、また二人で笑った。わたしはレモンチューハイの缶を開け、紙コップに注ぎ缶を袋に隠した。

風が吹くと、花の香りが土埃と一緒に舞いあがる。遠くの方で、金鉄バッドの高音が空に響くと、平和な声が湧きあがる。隣で寝転がる千桜の髪の、シャンプーの匂いが鼻先をかすめた。
「――さてはアロマシャンプー。」
「はーずれ、今日はダヴでしたー。」
加えていたスルメで、千桜がイニシャルを空になぞる。D・・・a・・v・・e。
デイブ。
すかさず
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