千桜/黒木みーあ
ドの側面をばったばったと鳴らしている。さっきから、どこを見ているのかわからないような目線で部屋の中を見回していた千桜、と、突然目が合う。なんとなく、思って。わたしが、一緒に死んでもいいよと言って笑うと、お言葉に甘えますかねと言って、千桜が笑いながら突っ込んできた。
そのままもみ合いながら、千桜はわたしの腕に、わたしは千桜の腕に気を使っているのが互いにわかって、またふたりして、大声で笑った。
*
その日、わたしたちは学校で上着を脱いだ。最初に言い出したのは千桜で、わたしも、別にもういいかなって、思っていた。急に春らしくなってきたせいか、少し暑く感じていたのもあった。
千桜は
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