六月にはなにも書けない/ホロウ・シカエルボク
それは生態的なシステムというようなもので
そういう仕組みになっているからどんな理屈をつけたところで変わりはしないのだ
と
ここで一度手を止めて
俺はキッチンに水を飲みに行く
喉が渇く話を書いていたら
喉が渇いていたことに気付いたのだ
まるでビールを飲んでいるみたいに喉笛は呻いた
俺は水を飲むことについてもう少し考えて
行数をかなり稼ごうと目論んでいる
まだ満足出来る分量じゃない
書き始めたんなら満足出来るまでやらなきゃいけない
喉が渇いたのなら潤うまで流しこんでやらなきゃいけない
思えばそれをやらなきゃ死ぬみたいな
そんな言い回しをしてた
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