六月にはなにも書けない/ホロウ・シカエルボク
 
六月にはなにも書けない
書かなきゃいけないものがいくつか待っていたりするけれど
少なくとも今日のところはなにも書きたくはない
だいたい
なんで俺は
こんなものに手を染めているんだ?
小窓からかすかに入り込む風は
わりとまっとうな涼しさをまだ持っているけれど
明かりを消さなきゃ大した効き目はない
何度も水を飲むから
何度も汗が滲む
何のためにそんなことしているのか判らなくなるけれど
生き残ってきたものは多かれ少なかれそんなことをし続けているのだなとふと思った
そこにどんな違和感を持とうが
喉が渇いたなら潤すよりほかにするべきことはないのだ

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